実例から学ぶ税務の核心〈第8回〉最近の事業承継スキーム報道を読み解く②

週刊税務通信 №3453 平成29年4月10日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例 から学ぶ 税務 の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第8回>

最近の事業承継スキーム報道を読み解く②

解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

1  トステム事案の概要

岡野)  前回議論したように,事業承継スキームをターゲットにした否認事件の報道が相次ぎました。今回は,そのうちのトステム事案を扱います。概要について,説明してください。

白井)  トステムの大株主について,相続税調査で,財産評価基本通達によって申告した評価額が否認されたという事案です。いわゆる総則6項による否認が行われました。

遺産百数十億円申告漏れ=旧トステム創業者長女-60億円超追徴・東京国税局

村木)  被相続人である会長が,LIXIL(旧トステム)の前身である旧住生活グループ株式を資産管理会社に時価で売却して得た資金を金融商品に換えた上で,その資産管理会社に現物出資しています。また,相続人である長女の相続税納付時には,この資産管理会社株式を物納しているのですね。

濱田)  資産管理会社の株式評価は,類似業種比準方式で評価していたようです。ということは,S1+S2方式で評価せずに済んでいたのですね。

内藤)  株式保有特定会社とならずに済むように,金融商品を現物出資して,総資産の構成を変化させたというわけです。元々の旧住生活グループ株式を直接保有し続けているよりも,株価を低くできたのですね(第7回参照)。

岡野)  上場株式のまま保有するのではなく,非上場株式として類似業種比準方式が使えれば,利益や配当を低水準に抑えることで,株価が圧縮されるわけです。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)