実例から学ぶ税務の核心〈第22回〉収益認識会計基準対応通達を読む

週刊税務通信 No.3514 平成30年7月9日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第22回>

収益認識会計基準対応通達を読む

解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

村木)  前回は, 法人税法22条 4項と新設の同22条の2を確認したわけですが,登場が噂されていた通達が出てきたので,今回は,こちらを扱おうと思います。

濱田)  実務は,やはり,法人税基本通達があってこそですものね。

白井)  そう思います。税理士は,通達を知っていることが強みです。なお,以下では,文字数が多いので,収益認識会計基準を「基準」と略して表記します。

改正後 改正前
第2章 収益並びに費用及び損失の計算
 第1節 収益等の計上に関する通則
  第1款  資産の販売等に係る収益計上に関する通則
   第1款の2   棚卸資産の販売に係る収益
  第2款  固定資産の譲渡等に係る 収益
  第3款  役務の提供に係る 収益
  第4款 短期売買商品の譲渡 に係る 損益
  第5款 有価証券の譲渡による損益
  第6款 利子,配当,使用料等に係る収益
  第7款 その他の収益等 第2章 収益並びに費用及び損失の計算
 第1節 収益等の計上に関する通則
  第1款  棚卸資産の販売による収益

  第2款  請負による 収益
  第3款  固定資産の譲渡等による 収益
  第4款 短期売買商品の譲渡 による 損益
  第5款 有価証券の譲渡による損益
  第6款 利子,配当,使用料等に係る収益
  第7款 その他の収益等
1 目次
岡野)  まず目次を見て驚いたのが,請負収益の取扱いです。款レベルでは,もう登場しなくなったのですね。

内藤)  私もビックリしました。「第1款 資産の販売等に係る収益計上に関する通則」を置いた上で,旧「第2款 請負による収益」を削除して,「第3款 役務の提供に係る収益」を新設して,請負はここに取り込みました。

白井)  請負も役務提供の1つですから,まとめればそうかなという気もしますが,やはり基準を意識しているのでしょうか。

村木)  基準では,請負を正面からは扱っていませんね。工事契約というのが出てきますが,「財又はサービス」という表現ですから,「サービス」を税法は「役務」と捉えているのかなと思っています。

内藤)  気になるのは,これで,消費税法の構成とズレてしまった点です。消費税法は,法人税・所得税の規定を流用している箇所が多数存在しますので,大丈夫かなと。

白井)  実質的な変更はしていないようですから,まぁ大丈夫だろうという判断なのでしょうね。

岡野)  あと目次では,第2章第4節で「第1款 長期割賦販売等」が,第11章で「第3節 返品調整引当金」が削除されていますね。廃止されますので,当然と言えば当然ですが。

2 重要な改正通達のポイント
村木)  改正された通達は膨大ですので,全部を取り上げるとキリがありません。今回は,重要なものだけをピックアップして取り扱うことにしましょう。

(1)第1款 資産の販売等に係る収益計上に関する通則〔基通2-1-1(収益の計上の単位の通則)〕
濱田)  では,第1款の通則規定に入っていきましょう。まずは,2-1-1で単位の話です。

(収益の計上の単位の通則)

2-1-1  資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(2-1-1の10及び2-1-40の2を除き,平成30年3月30日付企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下2-1-1において「収益認識基準」という。)の適用対象となる取引に限る。以下この節において「資産の販売等」という。)に係る収益の額は,原則として個々の契約ごとに計上する。ただし,次に掲げる場合に該当する場合には,それぞれ次に定めるところにより区分した単位ごとにその収益の額を計上することができる。

内藤)  ここでは,収益の額について,原則は個々の契約ごとだが,例外として区分した単位ごとに計上することを許容しています。

白井)  あくまでも原則は,従来通り,個々の契約ごとなのですね。

岡野)  そうです。基準を適用しない中小企業実務は,従来と変わらないように配慮されています。

村木)  ただ,忘れてはいけないのは,基準の適用対象となる取引に係る収益の額に限って適用できる通達です。基準の対象とならないリース取引などは,この通達の適用対象外ですので,念のため。

で,許容される例外規定が次頁で示した通達の抜粋の(1)と(2)ですが,要件は,基準の27項,つまりステップ1の「契約の識別」を意識したものですね。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)