実例から学ぶ税務の核心〈第15回〉自社株納税猶予制度の再整理

週刊税務通信 №3486 平成29年12月11日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第15回>

空き家譲渡特例の落とし穴
解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

平成28年度税制改正で新設された空き家譲渡特例は,非常に落とし穴が多い特例だが,そのことを知らない税理士が多い。
確定申告期の時間に制約のある中で,パニックに陥らないよう,予め,頭の中を整理しておき,納税者をミスリードしないようにしたい。

1 空き家譲渡特例には落とし穴がある

内藤)平成28年度税制改正で創設された空き家譲渡特例ですが,落とし穴がいくつかあるようです。

濱田)どんな落とし穴があるのですか。

内藤)大きくは,4つ挙げることができます。

[1] 家屋と土地をセットで相続により取得する大前提

[2] 1億円判定の考え方

[3] 取得費加算特例との関係

[4] 添付書類の入手時期と耐震調査の時期

白井)落とし穴の話に入る前に,まずは,空き家譲渡特例の概要から確認しておきましょう。

2 空き家譲渡特例の概要
岡野)平成28年4月1日から平成31年12月31日までの期間限定の特例で,被相続人が他の同居人がいない状態で居住していた家屋がある場合に,
相続した家屋と敷地について,相続人の譲渡時において居住用財産譲渡特例(3,000万円控除)を認めるものです( 措法35 ③)。

村木)この制度は,相続を機に耐震基準を満たさない空き家が増えつつあり,社会問題化している現状に対応するため,相続を機に耐震基準を満たさない家屋については耐震工事を行って基準を満たした上で,あるいは,そもそも家屋を取り壊して土地のみを譲渡する場合に,居住用財産譲渡特例を使えるようにしたものです。

内藤)居住用財産譲渡特例は,譲渡者が居住の用に供していた財産を譲渡した場合の特例ですので,相続人が居住していない独居老人の居宅については,従来,3,000万円控除が使えませんでした。この特例は,このような弊害に対応するために,平成28年度税制改正で設けられたものです。

白井)独居老人が念頭にあるので,同居人がいてはいけないという要件が出てくるのですね。同居人を追い出せば特例が受けられるという条文は社会常識として作れません。親族だろうが,親族でなかろうが,同居人がいてはダメだと。

濱田)その意味で,貸付けしている場合は一切認めてくれないのですね。有償・無償を問わず,貸付は一切ダメだと。

村木)この特例が空き家の譲渡特例と呼ばれるように,被相続人に同居人がなく,誰も使っていない。相続開始後も誰も住めないし,誰かに貸すこともできないということにもなります。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)