実例から学ぶ税務の核心〈第16回〉特別編 新春・平成30年度税制改正対談 ― 与党大綱を読んで ―

週刊税務通信 №3489 平成30年1月8日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第16回>

【特別編】新春・平成30年度税制改正対談 -与党大綱を読んで-

解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

第1 総論

濱田)  平成29年12月14日に与党税制改正大綱が公表されました( №3487 (平成29年12月18日号)分冊(以下「分冊」57頁参照))。公表までに,新聞報道で小規模宅地特例と一般社団法人の租税回避スキーム防止規定が入ることが分かりましたが,これには驚きましたね。

岡野)  驚きました。一般社団法人の租税回避スキーム防止は,日税連の会長からの提言でした。まさか,日税連会長が,わざわざ穴塞ぎの必要性を主張するとは,全く思っていませんでした。

村木)  そうですね。ただ,日税連会長が,本当はどういう趣旨で発言したのか,よく分かりませんが。

白井)  私の勝手な想像では,後で扱う,事業承継税制の取組みに税理士を活用してくれという話とのバーターがあったのではないかと思っています。

内藤)  いや,流石にそんなことはしないでしょう。私は,日税連会長を信じたいですね。

濱田)  そのあたりはさておき,今回の税務の核心では,平成30年度税制改正大綱を扱いますが,その中でも実務上の重要事項だけを検討していきたいと思います。何か,それ以外で確認しておいた方が良いものがありましたか。

村木)  たばこ税,森林環境税,出国税(国際観光旅客税),電子申告あたりは,新聞報道で話題になりましたので,一応ざっとでも見ておく方が良いかもしれませんね。

白井)  たばこ税は,今回の増税のメインの1つだったようです。最近急速な勢いで普及しつつある加熱式たばこも課税区分の見直しがされ,大幅な増税となることが決まりました。

内藤)  森林環境税は,所有者不明山林の対応などの費用捻出のための増税です。個人住民税の均等割に年額1,000円上乗せするのですが,平成36年(2024年)度からの制度となるようです。

村木)  適用開始時期が先延ばしになっているのには理由があります。東日本大震災関連の特別措置として,平成26年度から平成35年(2023年)度までの間,すでに個人住民税の均等割に年額1,000円が加算されています。負担感をなくすため,これが終わる年度からの適用にしているようです。

岡野)  出国税は,原則として,一人当たり1,000円をトランジット等以外の出国時に徴収する制度です。

内藤)  この他,納税環境整備関係で,いくつかの話がありますね。資本金1億円超の大法人の電子申告義務化は平成32年4月1日以後開始事業年度からです。サイバー攻撃や災害など税務署長の承認を受けた場合以外は,紙による提出を行っても,無申告扱いとされますので,電子申告への対応が早急に必要でしょう。ただし,法人内の過失でも救済があるようです。

白井)  年末調整手続では,生命保険料控除,地震保険料控除及び住宅借入金等の特別控除に係る証明書等について給与等の支払者へ電子提出することが可能となるという話もありました。

濱田)  支払調書等のe-Tax又は光ディスク等による提出義務制度には,少し注意が必要でしょうか。提出義務対象者を「前々年提出すべきであった枚数が100枚以上の者」に引き下げるようです。平成33年(2021年)1月1日以後に提出するものから適用です。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)