実例から学ぶ税務の核心〈第23回〉平成30年度税制改正後の小規模宅地特例の実務

週刊税務通信 No.3522 平成30年9月10日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第23回>

平成30年度税制改正後の小規模宅地特例の実務

解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

小規模宅地特例についての平成30年度税制改正は,行き過ぎた節税を防止する趣旨の改正だが,通常の相続の場面でも思わぬ不利益が生じる。実務の視点から改正内容を掘り下げ,改正の問題点や実務における課題も検討する。

1 家なき子特例の位置づけの確認

白井)  平成30年度税制改正後の小規模宅地特例と貸付事業用宅地の改正内容を確認しましょう。まず,家なき子特例の趣旨から確認します。

村木)  「一人暮らしの父が亡くなり,空き家になった実家を,転勤中で借家住まい(家なき子)の長男が相続した(家なき子特例)」,これが典型です。この場合に敷地の減額を認めるわけです。

濱田)  実家には配偶者も同居の親族もおらず,別居中の長男には持ち家がありません。長男がいずれ戻るであろう実家です。取得した親族の将来の居住を保護するというわけですね。

岡野)  それを租税特別措置法は最小限の条文で表現しています。

家なき子特例 ( 旧措法69の4 ③二ロ)

当該親族(当該被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取得した者に限る。)が相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋(当該相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く。)に居住したことがない者(財務省令で定める者を除く。)であり,かつ,相続開始時から申告期限まで引き続き当該宅地等を有していること(当該被相続人の配偶者又は相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族で政令で定める者がいない場合に限る。)。

【家なき子特例の改正前の要件】

・居住用地を取得する相続人は3年間持ち家(配偶者の持ち家を含む)がないこと

・被相続人に配偶者又は同居相続人がいないこと

・申告期限まで継続して所有すること

村木)  配偶者がいると家なき子特例は使えませんから,2次相続で登場する制度ですね。

岡野)  1次相続では,配偶者が居宅を取得すれば必ず小規模宅地特例が使えます。また,配偶者の税額軽減も使えます。大変なのは2次相続です。配偶者の税額軽減が使えません。

内藤)  平成25年度税制改正で,一般家庭の相続税の負担が増えたといわれますが,それは2次相続の話です。基礎控除縮減の影響は,1次相続ではほとんど生じません。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)