実例から学ぶ税務の核心〈第26回〉一般社団法人・医療法人など持分のない法人の合併における課税関係
週刊税務通信 No.3535 平成30年12月10日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。
実例から学ぶ税務の核心
~ひたむきな税理士たちの研鑽会~
<第26回>
一般社団法人・医療法人など持分のない法人の合併における課税関係
解説
大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾
持分のない法人における合併では,株式会社などと異なる注意点がある。持分のない医療法人が増えてきたこともあり,これらの課税関係における論点を予め確認しておくことは,実務上有益だろう。
1 出資持分のない法人の合併~医療法人を例にして
(1)法制上の合併制度
濱田) 持分のない法人における合併について,法制と税制の概要を確認しておきたいと思います。特に,今後は,医療法人における合併が増えてくる可能性もあります。
内藤) そうですね。ただし,同じ持分なし医療法人でも,財団医療法人は実務的には例が少ないので,ここでは,議論を社団医療法人に限りましょう。
白井) 医療法人における合併で注意すべきは,現状では,まだ全ての医療法人が持分なしにはなっていないことですね。経過措置型医療法人と呼ばれる持分ありの医療法人が,まだまだ大多数だと承知しています。
村木) そこで,合併当事者で,持分のあるなしが混じる場合を考えないといけないわけです。持分のない法人と持分のある法人が合併する場合,持分ありのままだと存続法人になれないので,あらかじめ出資持分をなくしておくのが実務ですね。
内藤) その際に,時価純資産額次第では贈与税課税が生じる場合があるので,特定医療法人になるか,認定医療法人制度などを用いるか検討することになるのですね。
岡野) そうですね。医療法人の合併で実務上重要なことは,都道府県知事の認可が必要なことですが,その場合,設立同様,都道府県医療審議会における審議を経なければならない,ということです。
濱田) ということは,年2回しかチャンスがないと。
岡野) その通りです。株式会社の感覚でいると大けがをします。定款変更などもあり,手続きには,4ヶ月から8ヶ月程度かかると言われています。
白井) 会社の組織再編に慣れている人間であっても,この点は誤解がないようにしておくべきですね。
村木) その他にも,医療法人固有の論点が幾つかあるようですが,それは後でまとめて扱いましょうか。
(以下略)
(熊本本部スタッフ)
Comments are closed.