実例から学ぶ税務の核心〈第30回〉新規掲載された質疑応答事例を確認する

週刊税務通信 No.3551 平成31年4月8日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第30回>

新規掲載された質疑応答事例を確認する

解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

平成30年12月26日,国税庁はHP上の質疑応答事例を更新し,20事例(所得税3,源泉所得税1,譲渡所得1,財産の評価1,法人税8,消費税3,印紙税3)を追加した。今回は,これらの中から特に注目すべきものを選び,実務的な影響を含めて確認していきたい。

村木)  国税庁の質疑応答事例が新規に20例掲載されました。中には当然そうだ,というものもあれば,以前からどういう取扱いになるのかと話題になっていたものもあります。今回は,このあたりを確認していきましょう。

1 所得税
(1) 奨学金の返済に充てるための給付は「学資に充てるため給付される金品」に該当するか
内藤)  まずは,所得税からです。3問追加されました。「奨学金の返済に充てるための給付は『学資に充てるため給付される金品』に該当するか」は,常識的な取扱いの明確化と言えるでしょう。「学資に充てるために給付される金品」かというと奨学金返済支援金ですから,形式的に読めばダメです。しかし,奨学金の貸与返還は,そもそもお礼奉公による支援金給付ありきであることを踏まえ,実態で救済してくれたという位置づけになります。

【照会要旨】  A県は,B財団から奨学金(以下「本件奨学金」といいます。)の貸与を受けている学生(以下「支援対象者」といいます。)を対象として,卒業後にA県内の企業に就職し,2年間勤務するなどの一定の要件を満たした場合に,本件奨学金の返済に充てるための支援金(以下「本件支援金」といいます。)を給付する制度を設けています。

この場合,支援対象者が給付を受ける本件支援金は,非課税所得である「学資に充てるため給付される金品」に該当しますか。

岡野)  この照会に対する回答で「本件支援金は『学資に充てるため給付される金品』に該当するものとして取り扱って差し支えありません。」と述べている部分ですね。本来はアウトとなるものを,取扱い上はセーフとしてくれていると。

白井)  内容としては,間接的な支給であっても,実費弁償の範囲内であればOKということです。

濱田)  なるほど。「本件奨学金は支援対象者が修学する上で必要となる費用の額の範囲内であり,かつ,本件支援金はA県からB財団に直接送金され,本件奨学金の債務残高を超える金額にはならないことから,本件支援金が現に本件奨学金の返済以外に流用されることはないものと認められ」の部分ですね。

内藤)  あと追加で申し上げておけば,東京国税局の事前照会に対する文書回答事例「貸与制から給付制への移行に伴い奨学金返済債務が免除された場合等の税務上の取扱いについて」と今回の質疑応答事例は同趣旨なのでしょうね(https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/shotoku/171121/index.htm)。

(2) 疾病により重度障害となった者以外の親族が保険金の支払を受けた場合
岡野)  次は,「疾病により重度障害となった者以外の親族が保険金の支払を受けた場合」です。父親が,自分を契約者(保険料負担者)及び被保険者とし, 子を保険金受取人とする 生命保険契約を締結していたが,自分が疾病により重度障害の状態になったことから,子が保険会社から高度障害保険金を受け取った場合の課税関係がどうなるか,というものです。(以下略)

(熊本本部スタッフ)