実例から学ぶ税務の核心〈第37回〉民法改正による遺留分侵害額請求権制度への転換と実務対応

週刊税務通信 No.3584 令和1年12月09日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第37回>

民法改正による遺留分侵害額請求権制度への転換と実務対応

解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

民法相続編の改正で,遺留分減殺請求権が遺留分侵害額請求権に制度変更されたことで,税法改正にどのような影響が出るか,注目されていたが,条文上は,更正の請求事由の見直し程度しか行われなかった。一方で,課税庁は,実務上の考え方を大きく見直すことを公表した。法務関係者への影響は多大なものになると思われるため,ここで状況を確認しつつ,今後の対応について取り扱ってみたい。

1 民法改正による遺留分侵害額請求権制度への転換

(1)民法相続編の改正規定の施行時期

濱田)  民法相続編の改正は,段階的に適用されますが,多くの規定は,本年7月1日に施行されていますね。

白井)  第32回( №3559 )で扱った配偶者居住権制度は来年4月以後の施行で,自筆証書遺言を法務局が預かってくれるようになる遺言書保管法の施行は,来年7月10日からでしたか。

内藤)  遺言書保管法の施行がスタートすると,自筆証書遺言制度が大きく活性化するでしょうね。既に本年1月13日から,財産目録部分の自筆要求は撤廃されていましたが,公正証書遺言のように,預かってくれるようになるのは大きいです。

岡野)  そうですよね。意思能力の確認などの問題もありますので,公正証書遺言を勧奨するのが基本ではありますが,自筆証書遺言でも,法務局で事前の形式チェックが行われ,相続開始時の検認が省けるようになるのは朗報です。

村木)  法務省が数年後に戸籍取寄せ関係の対応を改革しようとしていることも視野にいれると,このあたり,税理士実務の知識としては必須ですよね。

<参考1>

「戸籍法が改正されてできるようになること」(法務省)

http://www.moj.go.jp/content/001295591.pdf

<参考2>

2.戸籍証明書を取得する手間の省略・軽減が可能に

要綱案は,①マイナンバー法にもとづく行政機関への戸籍関係情報の提供,②市町村間のネットワーク整備による情報連携,③電子的な戸籍証明情報の発行,④戸籍関係情報の保護措置,⑤戸籍訂正手続などに関する規定の新設や見直しを行うとしている。これにより,マイナンバーカードを提示すれば,戸籍証明書が無くても年金や児童扶養手当の受給申請などの手続が可能になる。同様に,これまで本籍地の市町村に限られていた戸籍証明書の交付について,本籍地以外の市町村でも交付を受けることが可能になるなど,戸籍証明書を用いた行政手続を行う際の手間が省略・軽減されることになる。

2019年2月1日「戸籍法の改正に関する要綱案」に対する談話

日本労働組合総連合会事務局長 相原康伸

https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1025

(以下略)

(熊本本部スタッフ)