実例から学ぶ税務の核心〈第39回〉特別編  新春・令和2年度税制改正大綱を読む(その2)

週刊税務通信 No.3588 令和2年1月13日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第39回>

特別編  新春・令和2年度税制改正大綱を読む(その1)
解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

第2 各論

6 連結納税( №3585 分冊90頁,113頁)

1)グループ通算制度への移行

濱田)  では,今改正の目玉の一つである,連結納税制度の見直しを見ていきましょう。大綱( №3585 分冊,以下「分冊」)では,本文以外に付記にもその詳細が記載されています。

白井)  平成31年度税制改正大綱で,連結納税制度の見直し検討が明記され,その後,連結納税制度に関する専門家会合などで検討されてきました。

岡野)  制度としては,連結納税制度からグループ通算制度に移行することになりました。令和4年4月1日以後開始事業年度からは,連結納税制度はなくなり,グループ通算制度に移管します。

内藤)  で,移行のタイミングで,すでに連結納税制度を採用している法人は,グループ通算制度の承認を受けているものとみなされます。つまり,連結法人は,そのままグループ通算制度へスライドすることになります。

村木)  ただし,令和4年4月1日以後開始事業年度の前日までに,届出をすることにより,単体納税法人に戻れるようにしてくれました。納税者の都合で,連結納税制度から離脱できるのは,千載一遇のチャンスなので,これを機に,単体納税に戻るグループ法人が出てくることも予想されます。

濱田)  そうですね。これから見ていきますが,新しく導入されるグループ通算制度を適用した場合に,既存の連結納税制度と比べて,どのようなメリットデメリットが出てくるのか,を検討する仕事が増えることが予想されます。デメリットが多いのであれば,この機会に単体納税に戻る,ということになるでしょう。

2)制度の基本的な仕組み

白井)  まず,グループ通算制度の基本的な仕組みを確認します。基本的には連結納税制度と同じなので,連結納税制度と異なる部分だけ確認します。

岡野)  まず,適用法人については,以下の法人を,適用対象外の法人に追加するだけで,連結納税制度における適用法人と同じです。

(1) 青色申告の承認の取消しの通知を受けた日から同日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していないもの

(2) 青色申告の取りやめの届出書の提出をした日から同日以後1年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していないもの

村木)  グループ通算制度は,適用法人が個別に青色申告の承認を受けていることを前提としています。連結納税制度では,青色申告という概念がなかったので,この点は,大きな発想の転換です。この転換を受けて,青色申告法人として不適当と考えられる上記の法人を,適用対象外としたのでしょう。

濱田)  確か,連結納税から離脱した法人が,単体申告に戻る際,青色申告の承認申請を失念し,税賠となった事例もありましたね。

内藤)  青色申告との関係でいうと,以下の改正も行われます。いずれも,青色申告の承認を受けていることを前提とした制度であることへの対応です。

(2) 承認の却下事由に,備え付ける帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録していることその他不実の記載又は記録があると認められる相当の理由があることを加える。

(3) 青色申告の承認を取り消された場合には,グループ通算制度の承認の効力を失うこととし,グループ通算制度固有の取消事由を設けないこととする。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)