実例から学ぶ税務の核心〈第46回〉役員退職給与不相当高額否認事件の背景(Jファーム事件)

週刊税務通信 No.3617 令和2年8月17日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第46回>

役員退職給与不相当高額否認事件の背景(Jファーム事件)

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

本誌で既に何度か扱われている過大役員退職給与の否認事案については,読者からの強い関心が寄せられているところだ。非常に低い功績倍率しか認められなかったという結果が,どのような背景から生じたのか,実務家目線で議論してみたい。

1 平均功績倍率「1.06」との否認事例の登場

濱田)  そう言えば,過大役員退職給与の裁判例がまた登場していたのですね。税務通信などの専門誌で扱っていたので,ちょっと話題になりました。平均功績倍率「1.06」ですか。この税務の核心で以前扱った飯田精密事件( №3445 )を彷彿とさせる,低い倍率ですね。

内藤)  あれも低かったですね。で,税務通信では,何回かに分けて記事を出してくれているのですが,記事で扱われた裁判例の話だけだと,実態がよく見えないなぁと思っていました。

№3594 (2月24日号) 過大役員退職給与巡る事件で納税者敗訴
№3595 (3月2日号) 詳報 東京地裁・搾乳事業等の元代表過大役員退職給与認定事件
№3598 (3月23日号) 今週のFAQ〈過大退職給与を巡る事件等の状況〉
№3599 (3月30日号) 過大役員退職金事件・2月判決の関連会社も敗訴

白井)  ちょうど確定申告期でもあり,詳細までは追いかけていなかったのですが,どういう事例だったのか興味あります。以前の議論では,現場では3倍基準が暗黙の了解だという話でしたが,何故,それが認められなかったのか。実務家としての興味は,畢竟,その話に尽きますね。

岡野)  そこで,裁判例の手前,非公開裁決例から確認していこう,ということですね。

関裁(法)平27第65号 平成28年6月27日裁決 本体事案
東京地裁令和2年2月19日判決平成28年(行ウ)第588号法人税更正処分等取消請求事件
関裁(法)平27第66号 平成28年6月27日裁決 関連会社事案
東京地裁令和2年3月24日判決平成28年(行ウ)第589号

村木)  はい,この事案の本質は,裁決例から見ていかないと,はっきりしません。というか,先に結論から言えば,この事案は,税務調査対応の失敗事例だと想像できます。このあたり,この後確認していきましょう。

ポイント  現場で使えるはずの3倍基準が何故使えなかったのか,がポイント。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)