実例から学ぶ税務の核心〈第51回〉令和2年分の年末調整の留意事項等

週刊税務通信 No.3636 令和3年1月4日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第51回>

 [特別編] 令和3年度税制改正を語る

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

1 はじめに
濱田)  昨年は新型コロナ感染症関係で,先が読めない1年でした。令和3年度税制改正大綱( №3634 (令和2年12月14日号)分冊(以下「分冊」)89頁参照)が例年の時期に出るのか危ぶまれましたが,無事,令和2年12月10日に公表されましたね。

白井)  今回の改正は,目玉が少ないのではないかと予測されていましたね。

内藤)  今年のキーワードは,デジタル化とカーボンニュートラルですね。電子保存の問題なども,このあたりを踏まえて,一気に進みそうな感じです。

岡野)  経済的な閉塞状況もあり,経産省が進める中小企業のM&Aについても,促進の目玉となる税制が登場しています。どの程度使えるものになるかは,この後の経産省の頑張り次第かもしれませんが。

村木)  また,会社法改正による株式交付制度への対応もありますね。国際課税関係は,外国子会社から受ける配当等の外国源泉税について,その配当金が100%益金不算入にされている部分,95%益金不算入にされている部分,100%益金算入にされている部分,に分解して課税関係を適用する,という細かい改正などはありますが,BEPSの解決が先送りされたので,大規模な改正はありません。逆に令和4年度の税制改正が注目になりそうです。

内藤)  他には,消費税の改正も小粒でしたが,3つほど,確認しておきましょう。

白井)  まず,課税売上割合に準ずる割合の承認申請期限が緩和されます。課税売上割合に準ずる割合を用いようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し,同日の翌日以後1月を経過する日までに税務署長の承認を受けた場合には,その課税期間から課税売上割合に準ずる割合を用いることができるようになります。

濱田)  現行では準ずる割合を適用したい課税期間の末日までに承認を受ける必要がありましたから,実務的には歓迎ですね。

岡野)  次に,郵便による20万円以下の資産の輸出について,輸出免税の要件として保存が要求される書類が見直されるのですね。いままでは,20万円以下の国際郵便(EMS)は物品受領書等又は帳簿のいずれかの保存で輸出免税の適用が可能でしたが。

村木)  これが,輸出したことを証明する書類として,日本郵便株式会社より交付を受けた当該郵便物の引受証及び発送伝票の控え等を保存しなければ,輸出免税を適用できないことになるようです。輸出を20万円未満と仮装したり,国内取引であるにもかかわらず輸出取引と装い不正に還付を受ける事例などがあったようですし,仕方ないですね。

内藤)  最後は,金地金の仕入税額控除に係る本人確認書類の見直しです。金地金の課税仕入れに係る仕入税額控除の要件として,本人確認書類の保存が必要ですが,その本人確認書類から在留カードやパスポートなどが除外されます。

白井)  在留カードやパスポートが駄目というのは,訪日外国人からの仕入れを認めないということなんでしょうね。偽造が多いというのと,金地金の密輸を完全に防ぐのは難しいという判断ですかね。

村木)  これらの改正は,ざっくりとイメージだけおさえておいていただいて,これら以外は,後の各論で検討しましょう。なお,自動車税制など我々の実務に影響ない部分は取り扱いませんので,予めご容赦下さい。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)