実例から学ぶ税務の核心〈第17回〉平成29年分確定申告前のチェック項目

週刊税務通信 №3494 平成30年2月12日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第17回>

平成29年分確定申告前のチェック項⽬

解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

確定申告期に突入した。平成29年分確定申告では,セルフメディケーション税制など医療費控除の改正や,仮想通貨の課税上の取扱いが国税庁から示されるなど,新たな対応が求められる。また,間違いが多い項目を再確認することで,今年度の確定申告作業に役立てていただきたい。

内藤)  平成30年度税制改正大綱が発表された日の翌日,税理士試験の結果が発表されましたね。いつも残念に思うのが,所得税法の受験者数が少ないということです。

白井)  多くの税理士が所得税法を勉強していないともいえますね。今回は,そんな所得税の確定申告で,間違えやすい論点を中心に話を進めていきたいと思います。

濱田)  法人税の感覚でやると間違える点もあります。法人税と似て非なる部分に注意したいですね。

まずは,保険金の取扱いからみていきましょう。

1 非課税とされる保険金等
村木)  ここでは事業に関係する保険金を扱います。法人税と違い,所得税には非課税とされる所得があるのですが,よくある間違いが,非課税とされる保険金を雑収入として課税所得としてしまうことです。

岡野)  棚卸資産の損失について受け取る保険金は売上的性格があるため課税処理で問題ないのですが,収益補償としての保険金に注意が必要ですね。

内藤)  収益の補償ですから課税扱いでいいのではありませんか。

白井)  そう考えるのが一般的なのでしょうが,人の損害に基因して取得するものは,心情的な面に配慮して非課税とされますね。

村木)  棚卸資産や山林以外の資産の損害に基因して取得する保険金も非課税です。損失額を超える保険金を受け取っても課税されません。ただし,保険金額に達するまでの損失額も必要経費となりません。

内藤)  あと,長期損害保険契約の満期金の取扱いにも間違いが多いようです。

白井)  長期損害保険契約の保険料については,掛け捨て部分は支払時に必要経費とされ,積立部分は事業外の支出とされます。満期時に返戻金があるのですが,こちらは一時所得の課税関係となります。

岡野)  満期時に,一時所得として処理するのではなく,返戻金を事業所得ないし不動産所得の総収入金額に,積立部分をその必要経費に,としてしまう誤りがあるということですね。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)