実例から学ぶ税務の核心〈第34回〉消費税率改定と軽減税率対応の実務における急所

週刊税務通信 No.3571 令和1年9月9日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第34回>

消費税率改定と軽減税率対応の実務における急所

解説

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

いよいよ,消費税率の改定が待ったなしとなった。混乱する実務の中で,最低限押さえておくべき基本は何か,実務家としての判断基準について,確認しておきたい。

1 消費税率改定を踏まえて
村木)  再度延期の話もありましたが,いよいよ,消費税率の改定が目の前に迫ってきました。軽減税率の話もあり,税理士事務所としては,関与先のサポートのために,点検しておくべき知識は多いですね。

岡野)  ただ,今更,他の記事でも扱っているような内容をやっても仕方ないですね。ある程度基本は押さえつつも,実務上の急所に絞って確認していきましょうか。

濱田)  もう再延期は流石にないですよね。

内藤)  無理でしょう。法改正が間に合いません。

白井)  しかし,日本経済は確実におかしくなりますね。中小企業を関与先としている多くの税理士には,なかなか辛い話です。

2 標準税率の改定で確認しておくべき事項
(1) 税率判断の基本
濱田)  では,9月末をまたいで行われる取引関係で,確認すべき事項から見ていきましょうか。

岡野)  その前に,税率改定関係あるいは,軽減税率判定関係で,押さえておくべき基本事項を確認しておきましょう。それは,消費税の取引は,3つの類型に区別され,消費税法は,それぞれで取扱いを区別している,ということです。

内藤)  資産の譲渡・資産の貸付け・役務の提供の3種類ですね。この区別が重要で,資産の譲渡については,資産の引渡し時期がいつかで税率判定を行います。

白井)  ここでいう引渡し時期というのは,出荷基準を含めての引渡し基準のことですね。

村木)  一番大事なことは,資産の売手が,税率判断を行うということです。仕入れ先で検収基準をとっているから,仕入れ先の検収時期で税率を判断するということではありません。あくまでも,売手の採用している収益認識基準に基づいて判断するわけです。

岡野)  ただ,力関係では,このような原則論通りに取引を行ってくれないケースもあるようですね。例えば,百貨店によっては検収時の税率でしか許してくれない場合もあるそうです。

内藤)  公正取引委員会に通報すればいいはずですが,報復が怖いので,泣き寝入りする事例も少なくないのでしょうね。(以下略)

(熊本本部スタッフ)