実例から学ぶ税務の核心〈第52回〉青色申告特別控除

週刊税務通信 No.3641 令和3年2月8日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第52回>

青色申告特別控除

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

令和2年分の所得税から青色申告特別控除額が65万円から55万円に引き下げられるものの,仕訳帳及び総勘定元帳を電子帳簿保存している場合,又はe-Taxで確定申告をしている場合として一定の要件を満たしている場合は,引き続き65万円の控除を受けることができる。今回は,65万円の控除を受ける要件を確認するとともに,青色申告特別控除について確認をしてみたい。

1 青色申告特別控除制度の変遷
内藤)  青色申告特別控除は,青色申告の特典の一つとして位置付けられているものです。まずは,歴史的背景を見ていきましょう。

岡野)  青色申告特別控除制度の源流は,昭和46年に創設された青色事業主特別経費準備金制度です。これは,その年の事業所得の5%相当額,最高10万円を必要経費として積み立てることができ,取崩し時に事業所得又は一時所得として課税されるものだったようですね。

村木)  ただ,すぐに廃止され,昭和47年分から10万円を控除する青色申告制度が創設されました。

白井)  平成5年分からは現行の青色申告特別控除制度となったのですね。これは,青色申告制度と同じ10万円を特別控除とするものですが,一定の要件を満たしている場合は,その控除額を35万円とするものでした。

濱田)  一定の要件というのは,現在の55万円控除と同じで,次の要件のことです。

① 青色申告の承認を受けていること。

② 承認を受けた所得に係る業務につき帳簿書類を備え付けていること。

③ 帳簿書類に,その所得に係る資産,負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引を正規の簿記の原則に従い,整然と,かつ,明瞭に記録すること。

④ その記録に基づき,貸借対照表や損益計算書等を作成し,確定申告書の提出期限内に確定申告書に添付して提出すること。

内藤)  ③は,一般的に複式簿記の方法によることになるのですが,複式簿記とはいえない簡易記帳方式で記帳をし,その簡易な簿記に係る帳簿書類等に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付する場合も,経過措置的に35万円の控除が受けられました。

岡野)  35万円の特別控除額は,平成11年分から45万円,平成13年分から55万円に引き上げられましたが,簡易記帳方式の場合は45万円に据え置かれました。

村木)  平成17年分からは65万円に引き上げられる一方,簡易記帳方式の場合の措置は廃止されましたね。つまり,平成17年分からは,複式簿記の方法により記帳している場合のみ65万円の特別控除額が適用され,簡易記帳も含め,それ以外の場合は10万円の特別控除額となりました。

(以下略)

(熊本本部スタッフ)