実例から学ぶ税務の核心〈第56回>不動産評価における総則6項の適用(その2)~令和2年11月12日東京地裁判決の驚き

週刊税務通信 No.3658 令和3年6月14日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。

実例から学ぶ税務の核心

~ひたむきな税理士たちの研鑽会~

<第56回>

不動産評価における総則6項の適用(その2)~令和2年11月12日東京地裁判決の驚き

大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾

6 東京地裁令和2年11月12日判決
岡野)  実は,この総則6項について,最近注目すべき裁判例が登場しています。東京地裁令和2年11月12日判決です。

[事案の概要]

・平成24年4月頃から,銀行との間で相続税対策についての相談が開始

・同年5月,相続税額の総額を計算した相続税概算計算書を銀行から受領

・平成25年6月,被相続人が肺がんにり患していることが発覚

・同年6月6日,銀行支店担当者から,節税対策として即効性ある中古物件の購入を勧奨され,物件の紹介を受けることを決定

・同年6月19日,業者不動産を紹介され,購入により相続税評価額が約9億円減少し,相続税を約3億円圧縮できる旨の説明

・同年7月12日,銀行支店及び業者担当者らとの打合せで,不動産購入を決め,価格交渉の結果,売買価額を15億円とする買付証明の差入

・同年7月25日,業者との間で,不動産を15億円で購入する旨の売買契約を締結

・同年8月20日,銀行から,賃貸不動産購入資金として,15億円を借入

・同日,不動産につき,売買を原因とする所有権移転登記

・同年9月16日,89歳で死亡

・平成26年7月1日,相続税申告(当初申告)

・平成27年8月14日,被相続人の配偶者死亡

・平成28年11月14日,対象土地以外の土地の評価誤りにつき修正申告

・平成29年11月22日,東京国税局内で 評価通達6 に基づく評価を行う旨上申

・平成30年5月28日,更正処分等

濱田)  本件事案は,マンションの不動産評価額に関する争いだったのですね。

内藤)  そうです。路線価評価では,土地評価額339,256,689円,建物評価額138,354,420円,国の主張する土地評価額830,000,000円,建物評価額210,000,000円でした。

白井)  ちなみに,購入時の取得価額は,土地882,352,942円,建物617,647,058円で,15億円の借入金で購入していたのですね。

村木)  上記の時系列を見てすぐに分かるように,相続の直前で評価差額の大きい物件を購入して,相続税対策を実行した事案です。取得価額からすると3分の1程度まで圧縮されていたことになります。

岡野)  この事案の特徴を先に指摘しておきましょう。

[1] 相続後売却を行っていないにも関わらず否認が行われた案件である

[2] 相続直前に評価差額の大きい物件購入が銀行主導で行われた案件である

[3] 申告期限から4年も経過してから更正が行われた案件である

(以下略)

(熊本本部スタッフ)